世界は今、長引く紛争や頻発する自然災害などにより、食糧支援を求めている国や地域が数多くあります。2024年2月時点で、総合的食料安全保障レベル分類のフェーズ3(急性食料不安)以上に該当する人は、72カ国3億900万人で、2020年の1億4,900万人から急激に増えています。そうした人々に食糧支援を通して人道支援を行っているWFP国連世界食糧計画(国連WFP)は、このような「緊急食糧支援」に注力する一方、恒常的に「学校給食支援」にも取り組んでいます。2023年は、61カ国で2,140万人の子どもたちに給食を提供しました。国連WFPは、学校給食を提供することで就学率が9%増加し、10万人の給食ごとに1,377の雇用を生み出し、学校給食は1USドルの投資で9USドルの経済効果を創出するとしています。
日本の学校給食の発祥は明治22(1889)年、弁当を持って来られない児童のために無料で食事を配ったのが始まりとされています。戦時中は中断されていたものの、戦後、外国からの食糧援助によって徐々に再開されました。
認定NPO法人21世紀構想研究会が開催している「全国学校給食甲子園」は、成長過程にある子どもたちの健全な食生活と健康を考えながら、学校給食の役割を広く知ってもらうことを目的としています。2006年に第1回大会が行われ、今年、第19回目を迎えます。全国の学校給食では、地域の地場産物を食材として利用した献立が出されています。学校給食は、食の文化、子どもの健康を守り育てる食育の現場なのです。大会では、全国の学校給食で提供されている献立を競うことで、食育を啓発しながら地産地消を奨励するとともに、この活動を通じて地域の活性化に貢献することをめざしています。そしてこの大会は、食品会社をはじめ、様々な企業のサポートによって行われています。
また、近年は地域住民等が無料または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する「こども食堂」が広まっていますが、こうした活動を支援する企業もあります。SDGsの目標の一つに「飢餓ゼロ」があります。国連WFP協会の会長によると、現在の状況では支援が追い付かないとしています。単独の支援では最大となったウクライナ緊急支援募金では、食品企業を含めて200社、個人を含めて約2万件の協力を得ましたが、パレスチナ支援ではさらに500社規模の企業に支援してほしいと述べています。国連WFPは、世界的な課題を解決するのみならず、民間企業にとってビジネス成果をもたらすような、相乗効果をもたらすことのできる戦略的パートナーシップを発展させることをめざしています。まさに、持続可能な社会の構築への貢献と企業の成長をつなげる活動であるということです。
このように、学校給食や食糧支援といった側面からも、私たちはESG投資の対象を見つけることができ、SDGsの目標達成や、世界規模の課題解決に寄与することができると言えます。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム