ESG格付機関の調査を「逆格付」したフランスのレポートでは、「格付機関自身のガバナンス」「評価の方法論」「調査対象企業とのコミュニケーション」「社会的に論議の的になっている問題に対するスタンス」「総合評価」の5つの大項目のもと、27のクライテリアで調査されました。それぞれの大項目の主なクライテリアは以下の通りです。
1)「格付機関自身のガバナンス」では、格付機関が、格付する相手企業に対してのコンサルタントをする利益相反がないか、また格付機関の独立性(どこかの企業グループの100%子会社ではないか) 、などが問われています。
2)「評価の方法論」については、方法論の透明性・安定性、データ収集プロセスの質と効率性、データの中立性、企業特性にあった分析をしているか、などです。
3)「調査対象企業とのコミュニケーション」では、企業情報の秘匿性、アナリスト資格保持者など専門性を持った人間が評価をしているかどうか、評価のフィードバックをしてくれるか、などです。
4)「社会的に論議の的になっている問題に対するスタンス」とは、たとえば開発プロジェクトなどで、企業が訴訟対象となっているようなケースですが、「社会的に論議の的になっている問題」だと、格付機関がいつどのような時に認識するかの方法論、企業側の説明もきちんと聞き、双方の言い分を把握しているかが、問われています。
5)「総合評価」として、格付機関自身の評判はどうであるか、この格付機関の格付をどれぐらいの投資家が採用しているのか、格付機関の内部監査はどうなっているのか、を見ています。
当社のようなESGを評価する立場から見ても、納得のできる逆格付の方法論と、クライテリアであると言えます。このように、ESG格付機関と、評価される立場の企業との間でコミュニケーションを密にすることによって、企業のESGへの取り組みがさらに進み、評価機関の評価手法も、より緻密になります。
そして最終的に、ESG評価機関の格付が本当に正しかったかどうかは、その企業の中長期的な成長と株価の上昇が証明することになるでしょう。当社にとっても、大変啓発される、示唆的なレポートでした。
参考:
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム