ESG格付機関を格付?―その1―

フランスの大企業(SBF120構成銘柄)に対する、ESG格付機関の調査を「逆格付」したレポートが話題になっています。実施したのは、Medef(仏企業連盟)とAfep(フランス私企業協会)、Cliff(仏IR協会)、C3D(仏サステナブルデベロップメント&CSRディレクター協会)の4団体。対象となったESG格付機関は、仏エコバディス、英CDP、FTSE、MSCI、独イーコム、スイスのロベコサム、オランダのサステナリティックス、仏英ヴィジェオアイリスの8機関です。

ESG格付機関への「逆格付」は、「格付機関自身のガバナンス」「評価の方法論」「調査対象企業とのコミュニケーション」「社会的に論議の的になっている問題に対するスタンス」「総合評価」の5つの大項目の下、27のクライテリアで調査されました。調査を受けた格付評価8機関の「強み」と「改善が必要な分野」も、きちんと分析されています。

先見性が最も高いとされたのは、企業の98%から支持を得たヴィジェオアイリス、2位がCDP(90%)、3位がイーコム(86%)。調査票の回答率と、今回の満足度には相関関係はありませんでした。

格付機関がコンサルなどを兼務することによって起こりうる利益相反などの「ガバナンス」や調査機関の独立性については、各企業ともある程度満足している様子。やはり不満が大きいのは、調査の「方法論」のようです。評価基準は公開できなくても、格付の対象企業にはフィードバックされるべきであるとか、公開情報から埋められる項目を埋めた上でアンケートを送付すべき、前年の回答が反映された調査票を送るべき、アナリストと会社との意見交換の必要性、また調査日程がある程度決まっていることが望ましい、などの提言がなされています。

いずれにせよ、格付機関の全体評価は満点4点で2.78点にとどまり、「まだ改善の余地がある」というものでした。

ちなみに、調査実施側がフィードバックのため、8機関に面談を求めたところ、2機関が拒否。ほかの6機関は面談したものの、調査結果で最もバランス良く得点した2機関からは、面談後の書面での連絡がなかったそうです。

次回は、27のクライテリアの詳細などについてご紹介する予定です。

参考:

http://www.afep.com/wp-content/uploads/2019/02/Afep-Medef-Cliff-C3D-initiative-on-non-financial-rating-February-2019.pdf

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

Top