ESGで技術を見る、ということ

大阪G20サミットにて、削減目標が定められた、プラスチック汚染問題は、現在、世界的な課題となっています。メディアでも、汚染問題やプラスチックの代替品について連日報道がなされ、解決に寄与する先進技術の開発に、多くの企業がしのぎを削っています。

ESGの視点から、そのような地球的課題に貢献できる企業は重要な投資対象であり、当社でも日々、動向を調査しています。そして、そうした企業を評価する基準に、「技術的優位性」があります。幾多の企業が参加し、玉石混交とも言える状況から、真に競争力のある企業を見極める必要があるからです。

例えば、注目を集める「生分解性プラスチック」を例にとってみましょう。

植物などを材料に作られ、自然に分解される、夢のプラスチック素材として、大きな期待が寄せられ、多くの企業が研究・製造に挑んでいます。しかし、生分解性プラスチックといっても、各社の製造する素材の間には製法や分解条件等、大きな違いが存在します。

その中から、確かで優れた技術を選び出すために、グッドバンカーでは様々なバックボーンをもつアナリストが力を合わせ、分析を行っています。

協働している化学関連の研究者と、情報交換を行った時の話です。とある企業の生分解性プラスチックが話題になり、当社では、その技術について、より詳細な分析をすることにしました。しかし、公開されている企業情報だけでは表面的で不十分な情報しか得ることはできません。そこで、専門的な学術論文まで調査を広げ、分解条件や製法といった性質、他社の製品と比べて優れた点を調べ、これでアカデミックな観点からの、技術的優位性をほぼ明らかにすることができました。これは当社に理系出身のアナリストが在籍していたことで得られた成果でした。

しかし、技術的優位性が、すぐに経営の競争力につながると考えるのは早計です。過去にイノベーティブな技術を開発した会社でも、その技術が商品化されて、会社の現在の収益の源泉になっているとは限りません。 技術がどのように応用され、商品化されていくのか、いつ、どこに、どのような戦略で販売されていくのか、そこに企業のS(社会を見る目)、G(経営判断)があり、その質を長期的に評価していくのがSRIのアナリストと言えます。

株式会社グッドバンカー
リサーチチーム

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