11月2日、日本で開催されたラグビーワールドカップが閉幕しました。今大会では、日本チームが初の決勝リーグ進出を果たし、大変な盛り上がりを見せました。また、多様なバックグラウンドを持つ日本選手が“ONE TEAM”として団結し、あのような快挙を成し遂げたことは、ダイバーシティを推進する日本社会にとっても、大きなインパクトを与えたと言えるでしょう。そして、現在、翌年に控えた東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、様々な最終調整が行われています。
これらの大規模なスポーツ大会の運営において問題となるのが、膨大な電力使用や大量に排出される廃棄物などの環境問題を含めたサステナビリティへの対策です。
2018年10月、国際オリンピック委員会(IOC)は、初のサステナビリティレポートを発行し、同委員会が定めた2020年に達成すべきサステナビリティに関する18のゴールに対する取り組み状況と、今後の課題を明示するとともに、2024年の開催地や2026年冬季オリンピック開催地とも、生物多様性や気候変動などに関する円卓会議を行ったことなどが記載されています。
また、米プロ野球リーグ(MLB)や米アメリカンフットボールリーグ(NFL)、米プロバスケットボールリーグ(NBA)といったメジャースポーツリーグを含む15のスポーツリーグ、14カ国の約600チームと会場がメンバーとなっている「Green Sports Alliance」や、スイスのジュネーブに本拠地がある「Sport and Sustainability International」という団体は、スポーツの力で、関係各所やファンを巻き込んでサステナビリティを推進していくことを宣言しています。さらに、欧州サッカー連盟(UEFA)は、サッカーにおける社会的責任をFootball & Social Responsibility(FSR)として提示し、大会中の観戦者の空路移動に伴って排出されるCO2のオフセットや、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)への取り組みなどが見られます。
これらのスポーツに関わる団体では、環境問題にとどまらず、人々の健康や人種差別、人道的活動なども含む幅広い分野についての議論が行われています。それは、試合や大会を開催するコミュニティや観戦者とともに、社会のサステナビリティにコミットしていく姿勢を示しているのです。 大きなスポーツ大会には、多くの企業が協賛しています。ラグビーユニオンの国際競技連盟「World Rugby」では、「サステナビリティアクション」として、倫理性のある、持続可能な製造を実現しているサプライヤーと契約することなどを掲げています。スポーツ界と産業界が共同して、観戦者も社会もハッピーなイベントをつくることが期待されます。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム