2020年、日本は東京オリンピック・パラリンピックの開催により、ICTサービスの拡充や交通混雑緩和のためのテレワークが進むと見られていました。しかし、これらを推し進めたのは、五輪大会ではなく新型コロナウイルスの感染拡大によってでした。人との接触を抑制するため、多くの企業がテレワークを導入、オンライン会議システムの利用や様々な文書や手続きの電子化が急速に進みました。
「令和2年版 情報通信白書」によると、2020年3月から4月の一カ月で従業員のテレワーク実施率は17.2%から38.8%に、会社からのテレワーク推奨・命令率は28.8%から53.3%(いずれも緊急事態宣言対象7都府県)へと急増しました。その後も、そのまま在宅勤務を継続する企業も多く、新たな働き方の模索が始まっています。
テレワークにより、通勤時間がなくなり、生活と両立させながら仕事ができるというメリットがある反面、長期になると様々なデメリットも浮き彫りになってきています。例えば、家族がいて集中できない、仕事のオン・オフの切り替えが難しい、すぐに相談できない……などです。特に、人との会話がなくなり、孤独感を抱く従業員も出てきています。
こうしたメンタル面でのストレスを低減させるため、企業も様々な試みを行っています。その一つが「マインドフルネス」です。GoogleやFacebookなど、シリコンバレーの名だたる企業では、すでにこのマインドフルネス瞑想が社員教育に取り入れられています。そして、最近、日本でもある企業が新入社員向け研修に導入しました。
マインドフルネスは、雑念や不安を取り払い、今の目の前のことに心を向けた状態を指します。この状態になることで、集中力の向上、生産性の向上、ストレスの軽減、他者への思いやり向上などに効果的であることが科学的にも明らかにされているそうです。そのマインドフルネスの状態に到達する手段として、瞑想が行われます。
先述の会社は、この研修を行うことによって、呼吸や体の緊張状態を観察し、自分がストレスを感じやすい環境を理解することで、ネガティブ思考やメンタルヘルスの不調に陥るのを未然に防ぐ考えです。
会社から離れた場所で、一人で仕事をするテレワークにおいて、集中力を維持し、生産性を高めるためには、何より従業員の仕事への意欲を高めることが重要です。マインドフルネス瞑想が、従業員のモチベーションアップに寄与し、生産性を高めるとすれば、非常に実効性のある研修になるのではないでしょうか。
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム